先日、恩師の退官を祝うパーティがありました。
1~4回生まで大変お世話になった先生でした。
一言では語りつくせない沢山の想い出が次々に蘇ってきました。
御年70歳・・・
先生との初めての出会いはヨーロッパへの建築視察ツアーでした。
とても過密スケジュールの旅行でヘトヘトハチャメチャでしたが、今はかけがえのない想い出です。
親に頼みこんで、成人式の着物を着ない替りに20歳の記念としての旅行。
芸大建築学科に入ったばっかりの青二才の分際で。
アホで欲望の塊だったあの頃。
先生の設計事務所のアルバイトもさせて頂き、ゼミももちろん。
先生は学生に対して「あれしろ、これしろ」とは言わない、吸収して学べというスタンスでした。
アホな私には正直解りにくいところもありました。
多くを語る事もなく、本当に温かな魅力ある先生でした。
直観や感性を大切にする先生でした。
先生が良いもいうものには「先生が何を観て何故良いと思ったのか」を考えたように思います。
これもアホなので考えてもちゃんと理解できなかった気がします。
あらためて考えると先生は生徒を選べないのですね。
きっと一番アホ生徒だった自信はあります。(自慢するなよ・・・)
私の展示会にはご夫婦でお越し頂き、奥様はこの時に選んで下さったハートのブローチをチョーカーとしてアレンジし、とても素敵に着けて頂いてました。
最初気づかず、こんな大切なお祝いの席に着けて頂けるとは思っていなかったので
感無量、涙がちょちょぎれました。
私にとって建築とは、空間を体験する聖なる器です。
人の心も変えうる力を持つものです。
昔、先生の作品を観て鳥肌が立った記憶があります。
観て感動する事はできますが、どうやら私には偉大すぎ、常に怖さが先に立ち、油汗をかいていたように思います。10年やってもしっくりこなかった。楽しむ余裕や勇気がなかったのかな。
建築はもうやってないのかと先生の言葉はちくりと痛みましたが、今の創作は建築を学んだから創れるもののような気がしています。
先生、本当にお疲れさまでした。
そしてこんなアホな生徒にも最後まで気にかけて頂き、本当に有難うございました。
退官記念に頂いた作品、ずっと昔なのに憶えています。
屋根のカーブと丸い穴・・・ずっと大切にさせて頂きます。